TGモンスターおよび専用サポートについて

《TGハルバード・キャノン》

Sチューナーモンスター+Sモンスター2体以上を素材として要求するレベル12のSモンスター。チェーンブロックを作らない召喚行為を無効にする効果・墓地に送られた時TGを蘇生する効果を持つ。

後半の効果からも分かる通りTGデッキで運用するようデザインされた大型モンスター。モンスターの展開を阻害できる4000打点というのは一見強力だが、妨害の対象がチェーンに乗らない召喚・特殊召喚・反転召喚に限定されており、耐性も持たないためあっさり処理されがち。TGを蘇生する効果も墓地に送られなければ発動せずタイミングも逃すため信用しづらい。そもそも蘇生先のTGに強力なモンスターが少ない、という問題もある。

単純に考えて、Sモンスター3体を用意するためには素材となるモンスター6体に加えマーカーを確保するLモンスターが必要。律儀に並べるにはカード消費が非常に大きく、後述のトライデント・ランチャーらの効果による素材調達が不可欠となる。

 

《TGブレード・ガンナー》

Sチューナーモンスター+Sモンスター1体以上を素材として要求するレベル10のSモンスター。自身を対象とする魔法・罠の発動を手札1枚で打ち消す効果・相手ターンに墓地のTGを除外することで場から離れる効果・その次のスタンバイフェイズに帰還する効果を持つ。

相手に干渉する効果こそ持たないものの、2つの効果で除去をかわしつつ攻撃力3300で継続的に殴っていけるというのは地味ながら強力。とはいえモンスター効果への耐性はなく、また自分のターンに激流葬やミラーフォースなどを踏んだ際にはなすすべもなく除去されてしまう。自身を除外した次のスタンバイフェイズに特殊召喚されるという効果の都合上、虚無空間のような特殊召喚メタにより戻ってこれなくなることもある。

ハルバード・キャノンのS召喚にあたっては少なくないリソースが要求されデッキの構築にも響いてくるが、こちらはスクリュー・サーペント1枚からハリファイバー経由でトライデント・ランチャーを出すだけでも容易にS召喚でき、打点の補助としてはある程度優秀。

回避効果は一見単純だが、「回避にチェーンしてTG1-EM1を発動し相手に押し付けた場合は自分の場に帰還する」「相手のドローフェイズに発動すると直後のスタンバイフェイズに帰還し、激流葬の発動条件を満たしつつ除外ゾーンに再度逃げられる」といった小技が存在する。積極的に狙うほどのものでもないが決まるとちょっと楽しい。

 

《シューティング・スター・ドラゴン・TG-EX》

Sチューナーモンスター+Sモンスター1体以上を素材として要求するレベル10のSモンスター。自分のモンスターを対象とするモンスター効果を墓地のチューナーをコストに打ち消す効果・1ターンに1度のみ相手の攻撃を無効にする効果・相手ターンに場のSモンスター2体をリリースし復活する効果を持つ。ブレード・ガンナーと同じ3300打点。というか元ネタのシューティング・スター・ドラゴンと同じステータス。

「自分のモンスターを」「対象とする」「モンスター効果」しか打ち消せないというのは便利とは言い難い。この手の置物としては珍しく1ターンに1度という制約が付いていないが、代わりに墓地のチューナー1体を除外するコストがあり、トライデント・ランチャーやスター・ガーディアン、スクリュー・サーペントで回収するリソースを削がれ続けることになる。

同様の素材を要求するブレード・ガンナーは場から離れる回避能力を持っていたが、こちらは攻撃無効効果が場持ちに貢献する。場をがら空きにしてしまうあちらと異なり3300打点を超えるモンスターが複数並ばなければ戦闘で突破できず、先述の耐性や自己再生効果もあいまってある程度場に居座ることができる。その代わり激流葬やTG1-EM1といったカードとは一切噛み合わない。

既存のTGとのシナジーがほぼなく全ての効果が中途半端なのが難点。そもそもこのカードを出す際に経由トライデント・ランチャーの耐性付与と重複するなるため置物としての効果が発揮されづらい。攻撃無効効果などで互いに穴を埋めあえる、と考えられなくもないが2体合わせても耐性は中途半端。だいたい場に残ったところで殴る以外の仕事がない。L素材として活用しづらくヴァレルロードの餌にしたいトライデントを守ったところで大して嬉しくもない。もうちょいどうにかならなかったのか。

自己再生の条件も厳しい。Sモンスター2体を揃えるには「サルベージ・ウォリアーや横綱犬でスター・ガーディアンを蘇生しつつS召喚を行う」「スクリュー・サーペントでレシプロ・ドラゴン・フライを蘇生しつつS召喚を行う」「武力の軍奏でスター・ガーディアンを蘇生する」などの方法があるが、わざわざ相手ターンを待たず並べた素材からSモンスターを出した方が面倒が少ない。というかモンスターを蘇生したいなら専用ギミックを仕込むより死者蘇生や救急救命を入れるべきでは?また蘇生のタイミングが相手ターンに限定されているためD・D・クロウなどはともかく墓穴の指名者のような速攻魔法のメタまで刺さりやすくなっている。

色々と書いたが、星12Sモンスターにアクセスできない状況でお茶を濁す手段としてはブレード・ガンナーに劣らない性能であり、自力で復活できるぶんレシプロの解体対象にも向いている。トライデントからの超大型S召喚に特化したデッキでレシプロに解体させ、EXデッキの薄くなった終盤に先述の方法で復活させる、というのが主な運用方法か。

 

《TGトライデント・ランチャー》

素材としてTGチューナーを要求するリンク3のモンスター。L召喚成功時にデッキ・手札・墓地のTGを1体ずつ自身のリンク先に特殊召喚できる。必ず3体出さなければならず、「デッキと墓地からのみ1体ずつ特殊召喚する」といったことはできない。効果を使用したターンはTG以外のモンスターを特殊召喚できなくなるため、ブレード・ガンナーやハルバード・キャノン、もしくはSチューナーによる相手ターンでのS召喚を狙って出すことになる。リンク先のTGと名の付くSモンスターに対象耐性を付与する効果もあるが、このカード自身は除去耐性を持たないためこちらはあまり有用ではない。

単にTG3体をTG3体にロンダリングするだけでは特にメリットはないため、L素材・S素材のいずれかを水増ししてアドバンテージを稼ぎ爆発力を上げることとなる。TGチューナー以外の素材は自由なので、前者にあたっては選択肢は無数にある。ハリファイバーが有用なのは言わずもがな。

後者にあたって利用できるカードはスクリュー・サーペント、スター・ガーディアン、タンク・ラーヴァの3枚で、いずれも効果により盤面にTGを1体追加できる。単純に考えればTG2体からSモンスター1体を召喚できるわけだが、特にSモンスター3体を要求するハルバード・キャノンを出す際にはリクルートしたTG3体に加えて新たな3体が必要であり、この3つの手段をフルに利用しなければならない(具体的な方法については割愛。すでにさんざん言及されている)。

デッキ・墓地など多くの領域に干渉すること、リンク先となる場に特殊召喚しなければならないことから多くのメタが刺さる。前者のため灰流うららや座敷わらしのような手札誘発に弱いのはともかく、後者のため効果発動に対応して除去やおジャマ・トリオなどを撃たれるだけで効果が不発になってしまう。手札誘発に対しては墓穴の指名者、対象を取る妨害手段に対しては古聖戴サウラヴィス、あらゆる効果に対応できるイーグルブースターなど対抗策はあるもののいずれも一長一短。墓地から特殊召喚するモンスターについては対象を取らず効果解決時に選ぶが、D・D・クロウや魔弾-ダンシング・ニードルなどで選択肢を削がれるだけでも展開に支障が出がち。

このようにあらゆる妨害に弱く、またTGを手札に温存しつつリンク3モンスターを出すこと自体が難しいという性質上、上記のケア手段や展開札を大量に積み妨害を踏み抜いてでも出せるようデッキを特化させる、もしくはオプションの一つだと割り切りこれに頼らずとも動けるデッキに挿すこととなる。

 リンク先のTGと名の付くSモンスターに対象耐性を付与する効果もあるが、範囲が狭くこれ自身のステータスも低いことからあまり有用でない。そもそもブレード・ガンナーやTG-EXは初めから似たような耐性を有している。

 

《TGハイパー・ライブラリアン》

S召喚に反応してドローを行うレベル5のSモンスター。

TGデッキでリンクマーカーを用意しつつ複数回のS召喚を行える状況は限られており、ハリファイバーのリンク先に出しつつ相手ターンにSチューナーを出して1ドロー、もしくはトライデント・ランチャーからの展開に乗じて1、2枚ドローするということになる。S召喚で吐き出した手札を回復できるのは優秀。

効果処理時に表側表示で存在しなければドローは行えないため除去で効果を不発にされうること、強制効果であるためダークロウなどの効果のトリガーになることに注意。

TGと名の付くチューナーでないSモンスター、という点からトライデント・ランチャーを使う際はほぼ必須となってくる。2400という攻撃力もレベル5のSモンスターでは高い部類に入り、またS素材にTGを要求しないことから場合によってはアタッカーとして運用することもある。

 

《TGパワー・グラディエイター》

破壊された時に1枚ドローする強制効果と貫通能力を持つレベル5のSモンスター。非チューナーとしてTGを要求する。

素材が限定されており攻撃力も100低いためハイパー・ライブラリアンの方が優先されがち。あちらが制限カードだった頃は2枚目以降のレベル5非チューナーSモンスターとしてトライデント・ランチャーからの展開に使われていたが今では全く見られなくなった。

2300という攻撃力は信頼できるほどの値ではないが、破壊されてもアドバンテージを補填できる準アタッカーというのはレベル5Sモンスターの水準から見て悪いものではない。相手ライフを削るのが苦手で守備力0のモンスターを送り付けやすいTGでは貫通効果もある程度有用。レベル5Sモンスターがしょっぱいだけだと言われればまあそうかもしれない。戦士族なので一応シャドー・インパルスからシエンにつながるということになっているが実際に使われているのを見たことはない。

ちなみに「グラディエーター」ではなく「グラディエイター」。検索する時に間違えやすい。

 

《TGワンダー・マジシャン》

S召喚された時に魔法・罠を1枚破壊、自身が破壊された時に1枚ドローという2つの強制効果を持つレベル5のSチューナー。非チューナーとしてTGを要求する。

効果で相手のカードを処理できるSモンスター自体は多種多様だが、S召喚と同時に相手の場に干渉できるというのはあまり類を見ない。またストライカー+ワーウルフから召喚権を使わずにS召喚できるため、除去系の魔法・罠を積極的に引き受け後続を処理されづらくなる。最低限の攻撃力も備えており露払いとしては優秀。

魔法・罠の破壊はあくまでも強制効果であり、盤面によっては自分のカードを割る羽目に陥る。スター・ガーディアンの登場により伏せを犠牲にしてSチューナーを確保するシチュエーションは減ったが、留意すべきことの一つではある。

これはパワー・グラディエイターにも言えることだが、「破壊され墓地に送られた」際に効果を発動できるメインデッキのTGとは異なり、単にフィールドでの破壊をトリガーとしてドローを行う。そのため奈落の落とし穴などを踏んだ場合にもドローの効果は発動する。奈落も最近あまり見なくなったが、能動的にアドバンテージを取れないTGでは重要な点である。

 

《TGスター・ガーディアン》

特殊召喚された時に墓地のTGモンスターをサルベージする効果・自分のメインフェイズに手札のTGを特殊召喚する効果を持つレベル5のSチューナー。非チューナーとしてTGを要求する。

攻撃力が低いためアタッカーとしての運用は期待できず、大抵のS召喚はスクリュー・サーペントで事足りるため高レベルチューナーという性質を活かすことも難しい。状況によっては自分のエクストラモンスターゾーンを埋めてしまうことがデメリットともなりうる。とはいえ自発的にアドバンテージを回収する効果は貴重であり、展開効果もあいまってトライデント・ランチャーからの大型シンクロではほぼ必須。

回収効果はS召喚のみならず特殊召喚一般で誘発するため、前もって墓地に送ったうえでトライデント・ランチャーなどから蘇生すれば大型S召喚の素材消費を緩和できる。サルベージ・ウォリアーから特殊召喚しTGを回収しながら白闘気双頭神龍につなぐといった利用も可能。

 

《TGレシプロ・ドラゴン・フライ》

レベル2のSモンスター。TGと名の付く自分のSモンスターを墓地に送り、素材としたSモンスター1組が墓地に揃っていれば蘇生できる。

蘇生できるのはSモンスター1組が揃っている場合のみ「Sチューナー+Sモンスターでない非チューナー」「Sモンスターでないチューナー+Sモンスター」といった組み合わせでは蘇生の処理につながらず、せっかく出したSモンスターを墓地に送るだけとなってしまう。また自身の効果で一旦除外し特殊召喚したブレード・ガンナーは墓地の素材とのつながりが切れてしまうため、墓地に送っても蘇生は行われない。

実際上の利用としては「Sモンスターをブレード・ガンナーやハルバード・キャノンに変換・解体しリンクマーカーを確保する」「ハルバード・キャノンで蘇生したい星10モンスターを墓地に落とす」「トライデント・ランチャーの制約に合ったレベル2バニラSモンスターとして運用する」といった具合になる。スクリュー・サーペントにも対応する低レベルのSモンスターであり風属性・昆虫族という珍しいステータスを持つが、これによるメリットは実際上ほぼないように思われる。

比較的場に残りやすいTG-EXを次のターンに解体してスター・ガーディアンを蘇生、墓地のTGを回収して次のターンに自己再生、という形で一応アドバンテージを稼ぐことができる。しかし手間に対してあまりにもしょっぱい。

 

  • メインデッキのモンスター

《TGハルバード・キャノン/バスター》

バスター・モードでハルバード・キャノンをリリースすることで特殊召喚でき、相手のチェーンブロックを作らない召喚行為を無効にし特殊召喚されたモンスターを除去する効果、被破壊時にハルバード・キャノンを蘇生する効果を持つ。

サイキック・リフレクターからトライデント・ランチャーのL召喚を行うデッキでは特殊召喚は容易。とは言ってもチェーンに乗らない特殊召喚やタイミングに関する弱点が全く改善されておらず、手札に来るとバスター・モードの効果での特殊召喚ができない点はサーチしやすいTGの特性に噛み合っていない。サーチしやすい機械族なのでマシンナーズ・フォートレスのコストになる。

バスター・リブートによる特殊召喚に関してはこの限りでないが、TGデッキと特に相性がいいわけでもないため割愛する。

 

《TGラッシュ・ライノ》

レベル4・地属性・攻撃力1600の獣族モンスター。TG共通のサーチ効果に加え、攻撃したダメージステップに攻撃力が400ポイントアップする永続効果を持つ。

1600という攻撃力はあまり信頼できない値だが、自分から殴りに行くときのみ2000に上昇し大半の下級モンスターを破壊できる。特にサーチを封じるライオウを一方的に処理でき、また永続効果なのでチェーンブロックを作らずインスペクト・ボーダーとも相打ちを取れる。相手ターンには単なる1600バニラでありたやすく処理されるが、相手ライフを削る能力の低いTGでは途切れず出てくる2000打点というだけでも及第点。

 スクリュー・サーペントで蘇生できる唯一のレベル4であり、墓地に1枚あるだけでレベル8Sモンスターやランク4Xモンスターといった選択肢が生まれる。ヴァレルロード・S・ドラゴンでトライデント・ランチャーを装備する際などに重要。

とはいえ他のTGのような展開効果を一切持たず、単なる2000打点では下級モンスター以外への対応も難しいため、召喚権を割く余裕がないまま手札で腐り続ける状況も多々ある。採用枚数の調整が難しい。

 

《TGスクリュー・サーペント》

レベル4・水属性・攻撃力1300の海竜族チューナー。召喚・特殊召喚に際して墓地の下級TGを効果を無効にして蘇生でき、また墓地から除外することでTGのレベルを1つ調節できる。

「手札からの展開とレベル5のS召喚には長けるがアドバンテージを取れず盤面も弱い」というのが往年のTGの弱さだったが、レベル5〜8のS召喚を単体で行えるこのカードによって幾分か補われたように思われる。ブースター・ラプトルを握っていればヴェーラーなどを打たれても十分なリカバリーが可能、というのも良い。レベル変動効果も地味ながら役立つ。

 蘇生効果を内蔵した高レベルのチューナーにはすでにデブリ・ドラゴンやカメンレオンなどがいるが、蘇生先が限定される代わり展開先に一切の制約がなく、また召喚のみならず特殊召喚でも誘発する、というのは非常に強力。サーチやサルベージが容易いことは言わずもがな。

ワーウルフを蘇生して総打点2500、ラッシュ・ライノを蘇生して総打点2900のクロックになれるのもロービートを行う際には重要。

ちなみに攻守がジャンク・シンクロンと一致しており、効果もよく似ている。スター・ガーディアンのデザインはアニメでの使用者であるアンチノミーを模しているが、このカードもジャンク・シンクロンに相当する立ち位置のカードとして作られたのかもしれない。

 

《TGワーウルフ

レベル3・闇属性の獣戦士族モンスター。TG共通のサーチ効果に加え、下級モンスターの特殊召喚に反応し手札から特殊召喚できる誘発効果を持つ。

ストライカーからの召喚権を温存してのレベル5シンクロ、スクリュー・サーペントからのレベル7シンクロやクリスタルウィングなどへの多段階シンクロに繋げられる。出しやすさもレベルもS召喚にうってつけであり、展開に欠かせないパーツの一つといえる。TGの共通効果に加えて炎舞-「天璣」にも対応するためサーチも非常に容易。

ゆるい制約で特殊召喚できるのは展開のみならずTG1-EM1の弾を確保する意味でも重要。相手ターン中の特殊召喚や相手による特殊召喚にも誘発するため、「相手ターンに発動し、同一チェーン上で激流葬を撃つことで壁を残しつつ盤面をリセットする」「相手ターン中にTG1-EM1の弾を確保しコントロール交換を行う」など特殊な動きが可能。EM1などで相手に押し付けたTGを戦闘破壊した場合自分のエンドフェイズにサーチを行うことになるが、この時にワーウルフを確保することでこれらの流れに自然につながる。

 

《TGジェット・ファルコン》

レベル3・風属性の鳥獣族チューナー。S召喚の素材になった時相手に500ポイントのダメージを与える。

下級チューナーとしてはやや高めの攻撃力1400、風属性・鳥獣族という希少なステータスこそあれ、効果は無いも同然。実際上の運用としてはTGと名のついたレベル3バニラチューナーということになる。具体的にはカタパルト・ドラゴンを採用する際レベル5S召喚のために投入するなど。

新規組登場以前ではサーチ効果を持つTGは高々12体しか投入できず、サイバー・マジシャンの効果の都合上汎用Sモンスターの召喚も非常に難しかった。特にストライカーが規制されていたころはこれが顕著であり、サーチ先の水増し兼汎用Sモンスターへの布石としてカタパルト・ドラゴンともども採用されるケースがあった。そういう意味では新規のあおりを食ったと言えなくもない。

S召喚でライフを詰められるという効果は現代のカードプールでも特異的であり、たまに無限バーンのコンボパーツとして言及される。実際上の採用理由になるとは思わない。

 

《TGストライカー》

レベル2・地属性・戦士族のチューナー。TG共通のサーチ効果に加え、サイバー・ドラゴンと同じ条件で自身を特殊召喚するルール効果を持つ。

ワーウルフやブースター・ラプトルなど召喚権を使わずに展開できるTGは複数いるものの、前者は下級の展開を・後者は展開されたTGを要求するため他の展開手段に相乗りせざるをえない、という問題がある。召喚権を使わずこれらのトリガーを確保できるTGはストライカーのみであり、大量展開の起点として重用することとなる。単にTG1-EM1の弾としても使いやすい。

地味ながらゴヨウ・ガーディアンやナチュルSモンスターにつながりうる地属性チューナーでもある。

 

《TGカタパルト・ドラゴン》

レベル2・地属性のドラゴン族モンスター。レベル3以下のTGチューナーを手札から特殊召喚する起動効果を持つ。

相手の場にこそ依存するもののストライカーは緩い条件で特殊召喚できるため基本的にシナジーはなく、レベル4Sモンスターを出すとしてもレベル1チューナー+ワーウルフなどで十分。D・モバホンよろしく何も考えずに設定したとしか思えないレベル制限のためスクリュー・サーペントには対応しない。サイバー・マジシャンを特殊召喚することでレベル3のS召喚につながるものの有用なモンスターは霞鳥クラウソラス程度。ジェット・ファルコンと組み合わせる前提でデザインされているのだろうが、あちらが別段優秀でもないことは上述の通り。

かつてはジャンク・シンクロンで釣り上げられる非チューナーTGとして一定の価値があったが、スクリュー・サーペントの登場によりその地位も失われてしまった。トライデント・ランチャーやハリファイバーを作る起点となることを買われ最近は時折姿を見せていたが、ギア・ゾンビの登場によりそのお株も奪われつつある。

 

《TGブースター・ラプトル》

レベル1・風属性の恐竜族モンスター。TG共通のサーチ効果に加え、場にTGが存在する時に特殊召喚できるルール効果を持つ。

サーチ効果を持ち気軽に特殊召喚できるためEM1の弾として優秀。ルール効果による特殊召喚でありチェーンブロックを作らないため、増殖するGなどにやや強い。

レベルが低くS召喚の素材としてはやや貧弱だが、高レベルチューナーであるスクリュー・サーペントが相方として存在し、ハリファイバーをL召喚する際の素材としても有能。

TGのサーチ効果のみならず、ワンチャン!?や化石調査など多くのサーチカードに対応する。特に化石調査をミセラサウルスなどの展開パーツとTGの好きな方に変換できるのはトライデント・ランチャーに特化したデッキで非常に有用。

 

《TGドリル・フィッシュ》

レベル1・水属性の魚族モンスター。TGのみが場に存在する時に特殊召喚できる起動効果、直接攻撃できる効果、TGが相手に戦闘ダメージを与えた際に相手モンスター1体を対象とし破壊する効果を持つ。

相手の場に直接干渉できる唯一の下級TG。直接攻撃能力と除去効果がよく噛み合っているが、S召喚やL召喚の素材にしなかった場合は低ステータスのバニラモンスターとして相手ターンを迎えることとなり、なまじっか単体で通用してしまうためEM1の弾にも向いていない、というTGとしては一風変わったカード。

展開効果によってトライデント・ランチャーの召喚に寄与でき、星1非チューナーとしてレベル12のSモンスターを作る際にも素材として期待できるが、水属性・魚族というステータスでは受けられるサポートが少なく、化石調査によって展開パーツとの使い分けが利くブースター・ラプトルに劣る。

展開効果を与えられ除去のトリガーも拡張されているためアニメ版から少なからぬ強化を受けてはいるが現代ではやはり厳しいものがある。オルターガイスト・メリュシークの2年後に出すカードじゃないだろ。

 

《TGサイバー・マジシャン》

レベル1・光属性の魔法使い族チューナー。TG共通のサーチ効果に加え、TGをS召喚する際手札のTGを素材にできる効果外テキストを持つ。

手札のTGをS素材とする能力はS召喚先が限定されているため使いづらいが、エルシャドール・ミドラーシュやカイザーコロシアムなど展開を阻害する置物を突破する際に役立つ。効果外テキストの仕様として効果を無効にして特殊召喚した場合でも手札シンクロを行えるため、素材を握っていればジャンク・シンクロンやスクリュー・サーペントで蘇生し複数回のS召喚が行える。クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンなど多段階のS召喚から出るモンスターを採用する場合、またラッシュ・ライノや2枚以上のブースター・ラプトルを握った状態でトライデント・ランチャーを出す場合に重要となる。

S召喚が絡まない状況では特に仕事をしてくれないが、攻守0かつTG1-EM1に対応するため転移要因として最低限の仕事はでき、破壊したエンドフェイズにラッシュ・ライノなどをサーチすることで上述の動きの布石を打てる。

 

《TGギア・ゾンビ》

レベル1・闇属性・アンデット族のチューナー。場に存在するTGのステータスを下げ特殊召喚できる起動効果を持つ。

サイバー・マジシャン+ラッシュ・ライノでのS召喚は召喚先が限定されるのがネックだったが、前者をギア・ゾンビに変えることで汎用Sモンスターにつながるようになった。特殊召喚しやすいTGチューナーとしてハリファイバーやトライデント・ランチャーにアクセスしやすいのも大きな利点。ワーウルフとは互いの特殊召喚のトリガーを提供しあうことができる。

その反面あちらが持っていたサーチ効果・効果外テキストなどのメリットは失われており、場に出ると単なるレベル1バニラチューナーとなってしまう。ワーウルフとの組み合わせでレベル4Sモンスターにつながることが一つのメリットだが、いずれもTGとのシナジーが薄いのが難点。

守備力0のアンデットチューナーなので不知火の隠者や馬頭鬼、生者の書など多数のサポートに対応するが、上述の通りリクルートや蘇生の恩恵が少ない。アンデット要素を濃くすればこの限りでないが、その場合グローアップ・ブルームやスケープ・ゴーストらとの差別化が難しくなってくる。

 

《TGタンク・ラーヴァ》

レベル1・地属性の昆虫チューナー。TGをS召喚する際に非チューナーとして扱え、TGの素材になると攻守0のTGトークンを特殊召喚できる。

効果を活用するためにはレベルの合計が2もしくは5となるよう素材を揃えなければならず、レシプロ・ドラゴン・フライが単独で仕事をしない都合上基本的には後者を狙っていくことになるが、自身を場に出す効果を持たないためラッシュ・ライノと並べるのは難しく、非チューナーとして扱う効果は効果外テキストではないためスクリュー・サーペントで蘇生してもレベル5シンクロにつなぐことはできない。仮にレシプロ・ドラゴン・フライを出したい場合でも同様の理由でサイバー・マジシャンの効果を活用できず、これらをクリアしてなんとかS召喚にこぎつけた場合でも出るトークンは攻守0かつ攻撃表示、とことごとく噛み合わないデザインになっている。大体TGトークンとかいう抽象的すぎる名前は何なんだよ。無理やりカテゴリに組み込むのをやめろ!

 一方で星1のTGはレシプロ・ドラゴン・フライのS召喚にあたって不可欠であり、特にこのカードは素材としての融通が利きトークンによる素材補給もできるため、トライデント・ランチャーからハルバード・キャノンをS召喚する際にはほぼ必須となる。ワン・フォー・ワンらレベル1サポートやハリファイバーなど多くのカードからアクセスできるのも利点であり、超大型シンクロに特化したデッキではこれらともども大量投入される。

 

TGは一応S召喚に特化した集団ということになっているのだが、この通りなぜかレベル1モンスターが5体も存在する。いずれランク1テーマとかに路線変更するんじゃないか。

 

魔法・罠カード

《TGX300》

TG1体につき300ポイントの攻撃力全体強化を行う永続魔法。

場のTGが増えるほど修正値も大きくなる仕様は手札からの展開に長けたTGの性質に噛み合っており、総打点が加速度的に増大するためロービートにおいてはなかなか強力。数を並べない前提でも2600打点のパワー・グラディエイターや2300打点のラッシュ・ライノというのは案外馬鹿にならない。2枚以上設置できた場合は下級のみでの戦闘で相手の場を更地にすることもしばしばある。

また攻撃力上昇は非TGを含む全てのモンスターに適用されるため、チャンバライダーやスターダスト・チャージ・ウォリアーなど複数回攻撃できるモンスターとの相性も良い。

とはいえまともなアタッカーとして機能する下級TGは実質2000打点のラッシュ・ライノ程度であり、他の下級はせいぜい1400止まり。かといってこれを補うためS召喚で打点を上げようとすると修正値も下がってしまう、というジレンマを抱えている。トライデント・ランチャーの登場によりアドバンテージを損なわないまま3400打点を出すという芸当も可能にはなったが、あちらが抱える脆弱性の都合もあり何とも信頼しづらい。複数枚並べるのを狙おうにもサーチが難しく手札事故の原因となることもしばしば。

厳密な下位互換ではないものの、実際上は団結の力に劣るケースがあまりにも多い。

 

《TGX1-HL》

自身のTG1体の攻守を半減させ、相手の魔法・罠1枚を破壊する速効魔法。

TGを対象に取るため除去によって不発にされるが、サイクロンの亜種としてもダメージステップに発動でき破壊先を対象にとらないというのは類を見ない効果。壁やS素材としてTGを場に並べるのは容易であり、使い勝手はサイクロンに劣らない。

逆に言えば対象を取らないサイクロン以上の強さはなく、一般的な魔法・罠対策の多くには劣る。

 

《TG1-EM1》

自分のTG1体と相手のモンスター1体を対象とし、コントロールを入れ替える通常罠。

相手の強力なモンスターを奪えるコントロール奪取・コントロール交換は厳しめに調整されており、送り付けるモンスターや奪取先などに少なくない制限が付いているのが通例だが、「表側表示のTGを送り付ける」という緩い条件で、かつフリーチェーンで相手モンスターを永続的に奪えるというのは破格の性能。相手の最も強力なモンスターを奪うのみならず、送り付けたTGを戦闘破壊することでダメージとアドバンテージを同時に稼ぐことができる。リンク2のモンスターを奪えばそのままトライデント・ランチャーの素材にできる。通常罠なのでトラップトリックに対応し、シルバーバレット先として有力な選択肢の一つとなる。

とはいえL召喚の登場・台頭によって送り付けたTGの活用が容易となり、相手ターンに発動しても展開の餌にされつつ奪取先ごと処理される、ということがままある。特にハリファイバーが普及しているのは逆風であり、迂闊にチューナーを送り付けてしまうと相手を助けることになりかねない。また単純な展開の阻害・素材の奪取としては汎用除去や大捕り物に劣っているため、相手の大型モンスターを狙っていくこととなるが、対象耐性が付いているだけで手も足も出なくなるのは難点。

近年は大型モンスターでなくアドバンテージの地道な獲得によって盤面を掌握するデッキ、また1体1体の効果がデッキ内で完結しコントロールを奪っても十全に機能しないデッキが多いように思われる。そういったデッキに対してはコントロール交換がうまく機能せず、サイドチェンジで全抜きする羽目になることも多々ある。具体的に言うと俺はオルターガイストとかサラマングレイトとかに何度もボコボコにされました。オルターガイスト・メリュシークってドリルフィッシュのパクりじゃないですか?

TGデッキの奥の手とも言える強力なカードではあるが、これらの点から運用は決して単純ではなく、発動タイミングには慎重を期すよう要求される。

ところでイラストに描いてある斧を持ったモンスターって何なんですかね? 

 

《TG-SX1》

TGによる戦闘破壊をトリガーに発動し、TGカテゴリのSモンスターを蘇生する通常罠。

TGモンスターの打点が低くコンバットトリックによる破壊が期待しづらいこと、相性のいいコンバットトリック自体あまり存在しないことから主に自分のターンに発動することになるが、この点が罠カード特有のタイムラグに噛み合っておらず、対象が厳しく限定された蘇生という効果も釣り合っていない。「ダメージステップに発動するため相手の妨害を受けづらい」という点はかろうじて評価できるものの、素材の確保や追撃の手段としては死者蘇生や戦線復帰、リビングデッドの呼び声などに大きく劣っている。

戦闘破壊自体はTG1-EM1などと組み合わせることで達成でき、通常罠としてトラップトリックを共有できたりもするのだが、上記のカードらと比較すると使い勝手の悪さは否めない。

 

《TGX3-DX2》

墓地のTG3体をデッキに戻し2枚ドローする通常罠。貪欲な壺の亜種。

戦闘破壊やS召喚、トライデント・ランチャーによる大量展開によってTGは墓地にたまりやすく、サーチ先を確保しながら手札を補充できるというのはよく噛み合った効果だと言える。フリーチェーンで発動できるため、相手の除去を無駄打ちさせつつドローし大きく差をつけることもたびたびある。

しかしスクリュー・サーペントやトライデント・ランチャーの登場に伴って墓地にTGを置くことの重要性も高くなっており、迂闊に発動すると往々にして自分の首を絞めることになる。墓地の肥えていない最序盤では事故札となりやすく、終盤でも罠カードとしてのタイムラグがネックとなりがち。

類似効果の貪欲な壺が制限解除されているのも厳しい。戻すモンスターの数は多いものの、手札誘発や汎用Sモンスターも回収できるため実際の負担はほぼ変わらず、魔法カードとしてTGX3-DX2より速効性に優れている。ブラフとして活用できること・通常罠の例にもれずトラップトリックでのシルバーバレットに対応することから決して下位互換の関係ではないが、特にトライデント・ランチャーを積極的に狙うデッキではハリファイバーや神樹のパラディオンらを回収できる貪欲な壺が優先されることが多い。

そもそもTGカード1枚1枚のカードパワーは高くないため、不確定ドローの価値もあまり高くない。書いてあること自体は強いのだが、こういった様々な点から手放しでの採用は難しい。

 

サポートカードのイラストにちょくちょく描いてあるTGエンブレムって何なんでしょうね。動物ばっかりだけど人間も混じってるし統率された集団なのかな。時空警察的な。

 

《バトル・スタン・ソニック

相手の攻撃を無効にし、TGもしくは下級チューナーを手札・デッキから特殊召喚する通常罠。
デッキからTGを特殊召喚できる通常罠としてはフリーチェーンでストライカーを出せるトゥルース・リインフォースが存在し、相手の伏せ除去に強く激流葬などのトリガーとなれる点で勝っている。そもそも相手ターンにTGを出す恩恵自体が少なく、またサイキック・リフレクターのような展開パーツとして採用されるチューナーをリクルートしたところで戦闘や除去カードで処理される確率が高い。相手ターンのバトルフェイズに機械族のS召喚を行えるクリストロンチューナーといったものも存在するが、ワンダー・マジシャンやスター・ガーディアンにより相手のメインフェイズに動けるTGの性質ともあまり噛み合わない。
デッキからTGを特殊召喚できる通常罠としてはフリーチェーンでストライカーを出せるトゥルース・リインフォースが存在し、相手の伏せ除去に強く激流葬などのトリガーとなれる点で勝っている。そもそも相手ターンにTGを出す恩恵自体が少なく、またサイキック・リフレクターのような展開パーツをリクルートしたところで戦闘やメインフェイズ2の除去で処理される可能性が高い。相手ターンのバトルフェイズに機械族のS召喚を行えるクリストロンチューナーといったものも存在するが、メインフェイズならワンダー・マジシャンやスター・ガーディアンによるS召喚が可能であり、差別化は難しく思われる。

相手の攻撃宣言を要する他のカード、それこそミラーフォースのようなカード達と比べても明らかに性能が劣っており、これらの罠よりも強く使うのはTGデッキにおいても困難。やってることはガード・ブロックとかとほぼ同じだし。なんで2019年にガード・ブロックが刷られてるんだよ。

一方でチューナー全般のサポートカードとしては類を見ない性能であり、巷ではカーナビゲーターやデカトロンやメタファイズラグナロクリクルートされているらしい。このように特定のチューナーに依存しなおかつTGと噛み合ったテーマが出れば輝くのかもしれないが、現状では特にないように思われる。